Swift 5 + Xcode 10.2での変更点をリリースノートを元にまとめると以下の様になります。
(但し、個人的に気になったところだけ書いています。)
ABI安定化とSwift 5 ランタイムについて
- Swiftコマンドラインツールで Swift 5 ランタイムが必須になった。
- Swiftアプリパッケージ内にSwift標準ライブラリやSwift SDKのライブラリを含めなくなった。
Swift 5 ランタイムはSwift標準ライブラリやSwift SDKの実装を行っているフレームワークです。macOS Mojave 10.14.4, iOS 12.2, watchOS 5.2, tvOS 12.2 以降はシステムに入っているものが使われるようになります。
macOS 10.14.3まで用にはDeveloperサイトからインストーラをダウンロード出来ます。私自身は、参照元のXcodeのリリースノートを見る前にダウンロードサイトで、ランタイムがダウンロード出来るようになったのを見て、Swiftの大きなマイルストーンが一つ達成されたなと感じました。
また、iOSの場合は別インストールが出来ないので、アプリをビルドするときのDeployment Targetの設定を元にXcodeがバイナリに含めるかを決めます。ビルド後のファイルサイズが変わります。
これらの変更は、ABI安定化によってシステムにランタイムライブラリを含めることが出来るようになったことが理由です。
これによるメリットはファイルサイズの減少が挙げられます。ちょっとしたツールであってもやや大きなライブラリ部分が常に必要だったのが、不要になりました。
また、Swiftのバージョンをまたいだバイナリの互換性も確保できます。
今後もSwiftのバージョンは上がっていくと思いますので、現在のバージョンで作られたバイナリ配布のライブラリを将来使っていても、Swiftのバージョンの縛りで使えないということが減ります。
しかし、古いままのライブラリが将来のOSでも何の問題も無く使えるかは別の話です。システムのサービスに依存しない、アルゴリズムを実装したライブラリなどは問題が無いと思います。しかし、システムのサービスを使っているものは、利用しているサービス側の更新に対応してアップデートしていく必要があります。また、Webサービスなどを使っているライブラリの場合にもセキュリティ関係の理由やWebサービス側の仕様が変わっている可能性もあります。
言語的な部分
- 文字列リテラルで「#」で囲んで定義すると、バックスラッシュのエスケープが不要になった。
文字列リテラルで定義するときに、バックスラッシュだらけになると見づらいので、その点は良いように思います。
Swift Compiler
- Swift 3 モードは削除された。
- Objective-Cのコードで定義されたenumの未知の値(将来定義されるかも)もハンドルする必要がある。Objective-C側のコードでNS_CLOSED_ENUMで定義すれば不要。
NS_CLOSED_ENUMの部分は実際のコードを書いての確認はしていないですが、SDKのヘッダファイルを作るときには意識しておいた方が良さそうです。