Apple App Store Review Guidelines が改訂され、アプリ内購入で、他の購入方法に関する情報を知らせるWebページに対して、リンクを張れるようになりました。
iOS 及び iPadOS アプリでは、アプリ内でデジタルコンテンツを購入する場合、 App Storeのアプリ内購入の利用が必須になっており、他の決済手段で購入するページへのリンクなどをアプリから貼ることが禁止されています。
このルールが米国のみ緩和され、他の決済手段に関するWebページへのリンクが認められました。
日本では非対応
今回のガイドラインの変更対象は米国のみです。
Apple App Store Review Guidelines に 条項 3.1.1(a)が追加され、米国では StoreKit External Purchase Link Entitlement (US) を申請することで、デジタル商品、または、サービスを購入するための方法を通知するWebサイトへのリンクが追加できるようになります。
Apple App Store Review Guidelines の全文は Web サイトで公開されています。
StoreKit External Purchase Link Entitlement (US) について
StoreKit External Purchase Link Entitlement (US) は、Appleのアプリ内購入以外の決済手段を知らせるWebサイトへのリンクを含めることができるようになる、エンタイトルメントです。Xcodeでエンタイトルメントを有効化し、StoreKit APIを使用します。
StoreKit External Purchase Link Entitlement (US) は審査があります。次のページから申請できます。
注意点
StoreKit External Purchase Link Entitlement (US) を利用する場合は、デベロッパーが決済時の問題に自分で対処する必要があります。返金や購入履歴、サブスクリプションの管理やその他、色々発生する問題や問い合わせに対して、デベロッパー自身が対応する必要があります。
また、Apple側へ支払う手数料がなくなるわけでもありません。
ファミリー共有などもApp Storeの機能なので利用できません。
App Store を利用するのと違い、デベロッパー自身に対応するだけの体力や資本力が必要になると思います。
関連する出来事
この記事を書いている2024年1月17日に、とある記事が報じられています。
上記の記事にも書かれていますが、米国での裁判の結果、米国ではアプリ内からアプリ内購入以外の決済手段への有効リンクの設置を認めるように判決が出たようです。認めないと、カリフォルニア州の州法に違反するそうです。
その結果、今回のガイドラインの変更につながったようです。
日本でもサイドローディングの義務化が議論されている
今回のガイドライン変更は米国のみですが、日本でもサイドローディングの義務化が議論されています。
サイドローディングは標準のアプリストア以外からもアプリを入手できるようにすることです。
次の記事が参考になると思います。
2023年6月16日にデジタル市場競争会議において、「モバイル・エコシステムに関する競争評価 最終報告」がとりまとめられています。
その中で、以下の様にサイドローディングの義務化を提言しています。
(1)アプリ代替流通経路の容認を求めること
モバイル・エコシステムに関する競争評価 最終報告
以上を踏まえ、一定規模以上のOSを提供する事業者に対して、セキュリティ、プライバシーの確保等が図られているアプリ代替流通経路を、実効的に利用できるようにすることを義務付ける規律を導入すべきである。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/digitalmarket/kyosokaigi/dai7/siryou2s.pdf
個人的にはサイドローディングに対して、反対も賛成もないです。しかし、サイドローディングによるセキュリティ問題などは危惧しています。PCと比較して、スマートフォンは利用者層が広く、サイドローディング可能になることでの問題が多くなる可能性があります。
ただ、Androidは最初からサイドローディング可能であり、社会問題になるような問題が起きているとは言えないので、考えすぎかもしれないです。