Gitから変更されたファイルだけ取り出す方法

Gitはファイルの履歴を管理しています。この機能のおかげで同じリポジトリを参照する人は、別の人が行った変更を取り込むことができます。

変更内容を別の人に渡したいときに、リポジトリに直接アクセスできる人はGitの機能を使ってもらえば良いのですが、リポジトリにアクセスできない人に、変更されたファイルだけを渡したいときには、どうしたらよいでしょうか?

Gitにはこのようなときにも使える機能があります。

目次

使用する機能

Gitでコミット間の差分を抽出するには、以下の2つの機能を組み合わせます。

  • 指定したコミット間で変更されたファイルの一覧作成機能
  • 指定したファイルだけを抽出する機能

指定したコミット間で変更されたファイルの一覧を作成する

指定したコミット間で変更されたファイルの一覧を作成するには、ローカルリポジトリで以下を実行します。

git diff --name-only COMMIT1 COMMIT2 >> OutFile

このコマンドは、COMMIT1からCOMMIT2までの間に、変更されたファイルの一覧を、OutFileに出力します。

COMMIT1COMMIT2はコミットのハッシュを指定します。ハッシュはSource Treeであれば、「コミット」という欄に表示されています。

SourceTreeでのコミットハッシュ
SourceTreeでのコミットハッシュ

Source Treeには1つのコミットに2つのハッシュが表示されています。片方は省略形です。git diffに指定するのはどちらを使っても構いません。

Source Treeのバージョン4.2.0で再確認すると、リストの方のコミットハッシュは表示されなくなっています。

また、Source Treeの場合は履歴表示でコミットを右クリックし、「SHA-1をクリップボードにコピー」を選択すると、それをコピーできます。ハッシュを手打ちするよりも、この方法の方が楽です。

コミットハッシュをコピーする
コミットハッシュをコピーする

最新版を指定したいときは、HEADと書きます。たとえば、次を実行すると、0123456から最新版までの変更リストを../diff.txtに出力します。

$ git diff --name-only HEAD 0123456 >> ../diff.txt

指定したファイルだけを抽出する

リポジトリから指定したファイルだけを抽出するには、以下を実行します。

$ git archive HEAD `cat FILE` -o OUTFILE.zip

このコマンドを実行すると、FILEに書かれたファイルをリポジトリから抽出して、OUTFILE.zipを作成します。

たとえば、先ほど作成した../diff.txtに書かれているファイルを抽出して、../diff.zipを作る場合は、次のように入力します。

$ git archive HEAD `cat ../diff.txt` -o ../diff.zip

ファイルを削除している場合

変更内容がファイルの削除や移動で、すでに最新版のリポジトリにはそのファイルがないときには、次のようなエラーが表示されます。

fatal: pathspec 'README2.md' did not match any files

この場合はREADME2.mdというファイルが見つからないというエラーです。すでに存在しないのでアーカイブに抽出する必要がないので、git archiveに渡すファイルリストを編集します。

git diffで作成したファイルは、1行に1ファイルが書かれているテキストファイルです。見つからないというエラーが表示されたファイルを検索して、その行を削除します。

削除してから再度git archiveを実行します。他に削除されているファイルがなければ、成功してアーカイブが作成されます。他にも削除されている場合は、同じようなエラーが表示されるので、その行を削除してから実行を繰り返します。

ファイルが大量なとき

ファイルが大量なときに数が多すぎてエラーになることがあります。

次のようなエラーが表示されます。

warning: inexact rename detection was skipped due to too many files.
warning: you may want to set your diff.renameLimit variable to at least 13024 and retry the command.

表示された13024の部分は実際の行数が表示されます。指示された通り、diff.renameLimitの設定値を変更することで、git diffが実行できるようになります。次のように入力して設定値を変更します。

$ git config diff.renameLimit 13024

古いバージョンのGitを使っているなど、他のエラーが表示されて、diff.renameLimitを変更しても動かないときは、diff.txtファイルを複数に分けて、それぞれを別々のアーカイブにして実行するという方法もあります。複数のアーカイブに分割されていることが問題になるようであれば、アーカイブを展開して、一つのフォルダーにまとめてから、あらためてZipで圧縮してください。

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この記事を書いた人

Akira Hayashi (林 晃)のアバター Akira Hayashi (林 晃) Representative(代表), Software Engineer(ソフトウェアエンジニア)

アールケー開発代表。Appleプラットフォーム向けの開発を専門としているソフトウェアエンジニア。ソフトウェアの受託開発、技術書執筆、技術指導・セミナー講師。note, Medium, LinkedIn
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Representative of RK Kaihatsu. Software Engineer Specializing in Development for the Apple Platform. Specializing in contract software development, technical writing, and serving as a tech workshop lecturer. note, Medium, LinkedIn

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