Gitで管理するドキュメントは、WordやExcelよりもMarkdownで書くことで保守性が高まり、更新作業も容易になります。
しかし、Markdownで作成したドキュメントは、GitLabなどのMarkdownをレンダリングしてくれるサイトでは適切に表示されますが、外部配布向けにプリント機能でPDFに変換すると、必ずしも理想的な出力が得られません。Wordで作った方が、見栄えがよくなるなぁと感じています。
そこで、MarkdownからPDFを作成する際でも見栄えを良くするために、Marked2というアプリを用いた方法を紹介します。
Marked2とは
Marked2はMac用のアプリでMarkdownのビューワアプリです。Mac App Storeから購入するか、SETAPPのサブスク経由で利用可能です。私はSETAPPのサブスク経由で使用しています。
Markdownを見栄え良くレンダリングするには、VS Codeにプラグインを追加し、GitHubスタイルのCSSを適用するという方法が一般的です。しかし、この方法はけっこう手間がかかります。最初だけなのでそれでも良いと思っていたのですが、マシンを初期化することが多く何度もやっていると面倒になり、私はMarked2を使うようになりました。
Marked2は有償だけあって、最初からGitHubスタイルのレンダリングを選択でき、PDF以外にもHTMLやdocx形式の出力も可能です。この記事ではPDFを書き出しますが、docxを出力して、Wordで仕上げても良いでしょう。
Marked2の設定
Marked
メニューのPreferences
からいろいろ設定できます。私のオススメ設定は以下の通りです。
Styleタブ
Style
タブは、Default style:
をGitHub
に変更します。MarkdownがGitHubと同じスタイルでレンダリングされます。
Exportタブ
次の3つのオプションをオンにします。
Print background colors and images
Use first H1 as fallback title
Indicate page breaks in preview
Indicate page breaks in preview
をオンにすると、プレビュー上でページ区切りがわかるので、必要に応じて、ページ区切りを追加します。
Headers and Footers
のTop Left
に%title
を入力します。
Bottom Right
に%page/%total
を入力します。
Include on first page
のHeader
とFooter
をオンにします。
PDF化したときに、ヘッダーにドキュメントタイトル、フッターにページ番号が挿入されます。
PDFの作成
PDFを作成するには、File
メニューからExport As
を選択し、続いてSave PDF (Paginated)
を選択します。
Tips
Markedを使ってPDFを作るときのちょっとしたTipsを紹介します。
特定の場所のでページ区切りの設定方法
Markdownの中で、次のように書くと、書いた場所で改ページが行われます。
<!--BREAK-->
目次の挿入方法
PDFのしおりにはなってくれないのですが、ハイパーリンク付きの目次ページを生成できます。Markdownの中で次のように書いた場所に目次が生成されます。
<!--TOC-->
Preferences
ウインドウのExport
タブのPrint table of contents
オプションはオフで使用します。Print table of contents
オプションだと、強制的にドキュメントの先頭に生成されてしまうので、使い勝手が悪いです。
Page break after
オプションをオフにしても、次のように<!--BREAK-->
とセットで使えば、目次専用ページを任意の場所に作れます。この方法の方が使いやすいです。
<!--BREAK-->
## 目次
<!--TOC-->
<!--BREAK-->
<!--TOC-->
よりも前に書いた見出しは目次の対象にならないので、目次に入れたくない項目は<!--TOC-->
よりも手前に書きます。たとえば、次のよう感じです。
# 動作確認結果
A.Hayashi
本資料は、動作結果についてまとめている。
## 改訂履歴
- 2022年6月27日 新規作成
<!--BREAK-->
## 目次
<!--TOC-->
<!--BREAK-->
## 動作環境
動作環境は以下の通り。
## Beta1での結果
Beta1では問題なし
このマークダウンをMarkedのプレビューで、ページ区切り表示有りにして、レンダリングすると次のようになります。
目次の前後でページ区切りがあり、目次専用ページになっています。また、目次には改訂履歴
や目次
といった見出しが含まれていません。