テックブログですが、本サイトに再統合されました。
アールケー開発のテックブログであるTechgakuには英語版のWebサイトがあります。
この英語版のWebサイトは、日本語版の記事を作ってから、手作業で翻訳するという手順で作成していました。しかし、手作業の翻訳だけだと時間がかかってしまうので、最近はDeepL Proを使った機械翻訳で作成していました。
ここで問題が起きました。
DeepL Proの翻訳は基本的には理解できますが、部分的に不自然さを感じてしまうのです。日本語に不慣れな方の日本語を聞いたときに、やや不自然だなと感じるのですが、それと同じことが起きているのだと思います。
機械翻訳した文章であっても校閲や推敲といったものが必要だなと気がつきました。
ベストな選択はネイティブな人間
ベストな選択は英語をネイティブに使える方に、校閲と推敲を依頼することだと思います。しかしながら、コスト面で実現が難しいという現実があります。
英文のライティングアシスタントツールを利用する
英文のライティングアシスタントツールを使って、翻訳結果の品質の向上を狙うことにしました。
機械翻訳でも手作業でも、まずは翻訳します。翻訳が完了したら、翻訳結果を英文のライティングアシスタントツールに入力します。
利用したツールは、Grammarlyです。
Grammarlyは以下のような機能を提供するSaaSサービスです。
- 英語の文法チェック
- スペルチェック
- パンクチュエーション(句読点の調整)
- 文章の明確さ調整
- 文脈に基づいた表現の提案
- エンゲージメント
- 文章の目的と形式の調整
- 盗用チェッカー
Grammarlyを使うことで、翻訳した結果を意図したトーンの文章に改善したり、文脈に基づいた表現に改善できます。
テックブログ向けの設定
Techgakuはテックブログです。テックブログの読者の想定はIT技術情報に興味を持つ層と考えています。そのような読者層に向けたIT技術情報を発信するテックブログ向けには、どのような設定を行うべきか、ChatGPTを使って検討してみました。
次のようなプロンプトを入力します。
GrammaryのGoalsの設定について教えてください。IT分野のテックブログの記事に適した設定はどうしたらよいでしょうか?設定項目と選択肢は以下の通りです。各項目にて適切な選択を教えてください。
– Domain : Academic, Business, General, Email, Casual, Creative
– Intent : Inform, Describe, Convince, Tell A Story
– Audience : General, Knowledgeable, Expert
– Formality : Informal, Neutral, Formal
プロンプト
ChatGPTの提案は以下のように表示されました。
Domain: 一般的には、テックブログはビジネスと一般の中間に位置すると言えます。そのため、「Business」または「General」を選択するのが適切です。記事が特定のビジネス関連の技術的なトピックに焦点を当てている場合、「Business」を選択し、より広範で一般的なテクノロジートピックについて書いている場合は、「General」を選択することをお勧めします。
Intent: ブログの目的は情報を提供することが多いため、「Inform」が最も適切です。しかし、特定の製品やサービスを推奨する記事を書く場合は、「Convince」も考慮に入れてみてください。
Audience: ブログの読者が一般的なテクノロジー愛好家である場合は、「General」を選択します。しかし、あなたが専門的なトピックについて書いていて、読者がその分野に精通していると想定するなら、「Knowledgeable」または「Expert」が適切です。
Formality: ブログのスタイルは、しばしば中立的またはカジュアルです。そのため、「Neutral」を選択すると良いでしょう。しかし、あなたが特にフォーマルなトーンで書くことを好む場合、または内容が特に専門的である場合は、「Formal」を選択することもあります。
この提案を整理し、Techgakuに書いている記事の内容も踏まえると、次のような設定が良いようです。
記事の種類 | Domain | Intent | Audience | Formality |
---|---|---|---|---|
レビューやビジネス | Business | Inform | General | Neutral |
技術情報 | General | Inform | General | Neutral |
ChatGPTで校閲・推敲する
Grammarlyで修正した記事を、さらにChatGPTによる校閲・推敲にも対応できることに気がつきました。
次のようなプロンプトを入力します。
タスク:
あなたは日本語をネイティブに扱うITエンジニアです。
以下の内容を確認して、自然なわかりやすい英語表現で稚拙ではない、プロの文章として書かれているか確認してください。
修正した方が良い英語表現については修正を提案してください。修正する文章は能動的な表現を使用してください。
つまり、校閲と推敲です。提案以外は日本語でお願いします。
提案を適用した修正後の文章全体は不要です。
内容で提示する文章はテックブログに掲載する記事です。
読み手はITエンジニアや学生、学者、研究者、ビジネスパーソンなどで、IT技術、AI、3D CGなどについて書かれています。
内容:
ここに記事を貼り付ける
プロンプト
すると、ChatGPTがよりわかりやすい表現や自然な表現を提案してきます。それらを記事に反映させます。
プロンプトは英文で書いた方がより良いアドバイスを得られる(2023年5月21日追加)
ChatGPTは日本語での質問も正確に理解してくれます。そのため、日本語でプロンプトを入力しても問題ありません。しかし、その上で英語で入力してみると、さらに相応しいアドバイスを回答してくれることに気がつきました。
たとえば、校閲・推敲のために次のようなプロンプトを入力します。
Task:
You are IT engineer and native English speaker.
Please review the following text and make sure it is written in natural, clear and non-poor English expressions.
Please suggest corrections for English expressions that must be modified. Please use active expressions in sentences to be modified.
The entire revised text with suggestions applied is not required.
The content of the text is an article. It will be posted to the tech-blog.
Readers include IT engineers, students, academics, researchers, and business people who write about IT technology, AI, 3D CG, and more.
Contents:
プロンプト
すると、英語の場合はなぜ、そのような修正を行った方が良いのかを、提案ごとに回答してくれました。
Grammarlyを再実行
ChatGPTで校閲・推敲した記事を、もう一度、Grammarlyに入力します。すると、Goalsに設定した条件に合わせた再修正が提案されます。その提案を確認しながら修正します。
何個かの記事で試してみると、ChatGPTの提案した文章が、Grammarlyによってより直接的な表現になる印象です。
校閲・推敲後の記事を確認する
このように何度か、GrammarlyとChatGPTを往復しながら校閲・推敲を行って完成した記事を確認します。
記事は最終的に自分自身で読み、校閲を行う必要があります。また、DeepL Proを用いて日本語に翻訳し、意図しない翻訳がないことも確認します。意図しない翻訳結果が出力された場合には元の英文に問題がある可能性が高いです。
まとめ
英語ネイティブの方に頼める環境にある場合は、頼むのがベストだと思います。
私はそのような環境にはいないので、ツールに頼ることしました。手間はかかりますが、かける価値があると思います。
この記事を執筆している現在、Techgakuはまだこの取り組みの初期段階にいます。すでに公開された記事はすべて校閲・推敲し直す予定で、同時に日本語の記事に対する校閲・推敲の環境も準備中です。日本語記事の校閲・推敲についても、別記事で紹介する予定です。
このように、AIやSaaSを駆使して英語記事を書くことで、より多くの人に情報を提供できるようになりました。
人間による再翻訳を並行して行う(2023年6月23日追加)
この記事を最初に書いた時点では機械翻訳と英文校閲ツールで十分だと思ったのですが、全ての記事に対して作業完了後、まだ、アクセス数の伸びが不十分でした。そこで、アクセス数が多い記事を機械翻訳を使わずに、人間の手(私)により再翻訳し、GrammarlyとChatGPTで校閲、推敲を行いました。すると、元々アクセス数が多い記事でしたが、更にアクセス数が向上しました。
まずは、機械翻訳で英語記事を用意し、人間による再翻訳を行うという取り組みを開始しています。